米国株比較 S&P500 VS NYダウ 後編

この記事は前編・後編の二部構成となっております。まだ前編の記事を見てない方はこちらからご覧になることをお勧めします。

リターン差の原因分析

検証要因その1銘柄数

S&P500は500銘柄で構成されるのに対して、NYダウは30銘柄で構成されています。投資の世界では銘柄を分散すればするほどリスクは低減するものと考えられています。これは感覚的に正しいと感じる人も多いはずです。であるならば、NYダウのほうがリスクが高くS&P500のほうがリスクが低いと考えるのが自然でしょう。それを検証していきます。

 
投資の世界におけるリスクとは、
将来の「不確実性」のことを指します。長期的にはプラスになるが短中期的には上にも下にも揺れ動くこのリターンのばらつきがリスクといわれるのです。統計学ではこのばらつきのことを標準偏差と表します。

それでは実際にS&P500指数とNYダウ指数の標準偏差(リスク)を求めてみましょう。

以下がS&P500指数の価格データと標準偏差です。

ちなみに標準偏差は価格データが手に入ればExcelで簡単に求めることができます。STDEV関数を用いて求めたいデータの列を選択するだけです。興味がある方は是非ご自分で試してみてください

上の通り、過去51年間のS&P500指数の年次標準偏差は16.80%となっております。S&P500指数の期待リターンは過去51年間で年率7.81%ですが、これは毎年安定して7.81%のリターンを生むというわけではなくプラスの年やマイナスの年を繰り返した結果平均すると7.81%になるというものです。以下に年次リターンの折れ線グラフを載せておきます

上記の通り、マイナス40%を超える年もあれば、プラス50%を超える年もあるように期待リターンから大きくぶれていることが分かると思います。これが投資におけるリスク(標準偏差)です。指数の値動きが正規分布すると仮定すると、「平均値±標準偏差×2」の区間にリターンが入る確率は約95%です。この式に実際のS&P500指数のデータを代入してみます

「7.81%±16.80%×2=-25.79%~41.41%」

統計学的には、S&P500指数は、-25.79%~41.41%のリターンの間にだいたい収まるということが分かります。

ちょっと説明が雑になりましたが、ここからS&P500指数とNYダウの銘柄数の違いがどれほどリスクに差を生んでいるか検証していきます。

以下はNYダウの価格データと標準偏差です。

上のグラフの通り、過去36年間のNYダウの標準偏差は16.78%となっており、S&P500の同期間の標準偏差は17.72%であったことを比較すると、銘柄数の少ないNYダウのほうがリスクが低いという結果になりました。このことから、リスクという面においては500銘柄であっても30銘柄であってもあまり変わらないことが分かると思います。要は30銘柄でも十分に分散できているということですね。

それではなぜ、S&P500とNYダウのリターンに目に見える差が出たのでしょうか。次は株価の算出方法に焦点を当てて比較していきます。

時価総額加重平均とダウ式平均株価

S&P500指数の算出方法となっている時価総額加重平均は時価総額が高い銘柄をより多く保有し時価総額が高い銘柄ほど指数全体に及ぼす影響が大きくなるように設計されています。

一方で、ダウ式平均株価は権利落ちによる株価の下落をなかったように修正したうえで算出した平均株価です。その特徴上、1株当たりの価格が高い銘柄が組み入れ上位に来てしまいます。実際組み入れ上位10銘柄の組み入れ割合は約50%となっています。

S&P500の上位10銘柄の指数に占めるウェイトは約30%であるのに対し、NYダウは50%を占めています。したがって、上位銘柄のパフォーマンスがいいとNYダウがS&P500をアウトパフォームすることがあるのです。

また、ダウ式平均株価は時価総額によってウェイト付けをしないため、株式分割などの影響も多分に受けてしまいます。実際去年アップルが株式分割を行った際にはNYダウのアップルの占める割合が大きく低下しました。コロナ下においてハイテク株が株価の上昇役であったことを考えるとNYダウに投資をしている投資家にとっては機会損失が大きかったものと思います。

このように平均株価であるがゆえにデメリットも多く抱えているのがNYダウの特徴です。

結局どっちへの投資がおススメ??

長々と書きましたが、筆者的にはS&P500指数への投資をおススメします。理由を説明すると、1銘柄当たりの影響がS&P500と比べ相対的に高くなってしまう点とNYダウが平均株価であるという点です。特に平均株価であることによって株式分割などの影響をもろに受けてしまうのが個人的につらいポイントです。

それぞれの特徴を理解したうえで読者の方々がおのおの投資選択を行ってください。今回の分析が、投資家様の判断の一助となれば幸いです。

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